リエゾン型人材

地方自治で「共創」がトレンドになっています。
公民連携に関する相談・提案の総合窓口機能として、様々な名称の「公民連携デスク」が各地の自治体に設置されており、中でも大阪府が設置した「公民連携戦略デスク」と、府内市町村が設置した各「デスク」が連携しながら取り組むモデルはとても大規模な取り組みです。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/25106/00444995/Pamphlet.pdf

・専門家や活動している市民とのネットワークを持ち、日常から様々な議論、意見交換ができる環境や風土を形成しておく、外に向けて開かれた組織への変革
・自己完結型の事業よりも、関係団体の力が結集できる枠組みの構築に向けたオープンネットワークが自治体に求められるなかで、特に民間の力を発揮するフィールドをどう作るかが重要だとされています。

そして、公民との連携を進めるに当たり、従来の縦割りを廃し、連携をよりスピーディに効率的にすすめていくためには、「管理型人材」から「創造型人材」への変革にむけた育成・配置がキーとなります。そうした人材の育成の場としても、「公民連携デスク」の機能は有効なのではないかと思います。

また一方、民間企業においても同様に、多くの会社・組織・部署が関わる「共創型」のビジネスやプロジェクトの増加に伴い、自ら主体的に考え・行動する人材の育成は今後の課題となっています。
多様なメンバーが対等な立場に立って本音で意見し合い、考えたり行動したりして、創意工夫を生み出す必要がある共創型ビジネスの経験は、OJTでは成しえない社員の貴重な人材育成の場になるのではないでしょうか。

社会貢献などのCSR活動に力を入れる企業も増えており、顧客・従業員・株主・地域の人々といったあらゆる利害関係者から信頼を得ることが企業のビジョンの一つとなっています。そうした点からも、周囲とスムーズな関係を築く【リエゾン型人材】のニーズは、公民ともに今後より一層高まっていくと思います。

こうした公民連携/共創事業に係る人的なメリットとして、以下の様な視点の獲得が挙げられそうです。

①固定観念ではなく、広く柔軟に考えてみる視点
②視点の方向を変え、逆の発想をしてみる視点
③各地の共創事例を分析・確認してみる視点
④異なる視点の人々と、対等にしっかりと対話をする視点
⑤互いに提供価値を示すことから始める視点

リエゾン型人材に求められるスキルで最も重要なのは、傾聴に始まる穏やかなコミュニケーション力です。さらに、多様な意見を論理的にまとめ上げ、分かりやすく伝えるための思考力や説明力、関係各位との調整力や交渉力も必要です。また、周りを巻き込みながら成果を出していくリーダーシップも、リエゾン型人材に欠かせない資質と言えます。
公民共創の場を通じて、多方面での活躍が期待できるリエゾン型人材の育成に公民で取り組む環境づくりを進めていきたいと思います。

■参考資料
『ガバナンス (2023年4月号)』(ぎょうせい刊)
『自治体事業 考え方・つくり方』(吉田 博著/学陽書房)
『公民共創の教科書』(河村昌美・中川悦宏著/事業構想大学院大学出版部)
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